小林LUPINの復活。

小林新

2015年03月06日 20:14

 
3月。年度末である。
いろいろ家の中を整理している。
  
いらないと思われるものでも、
とりあえずとっておいてしまう性分ゆえ、
これまで見てみぬふりをしていたエリアまで今回は手を伸ばして、
ホコリにまみれ、片付けているのだが、
ずっと大切にしまっていた(わざわざ手元においていた)
ヤヴァすぎるものが出てきた。
 


『LUPIN 黄金強奪作戦』

幼少時代、命燃やした古の卓上ゲーム。
(アダプタ、箱、説明書付き←褒めて)
 
購入場所は、諏訪の丸光。昭和57年の印。
購入者は、いとこである。
 
このゲームを私はいとこから譲りうけ、
どうしようもなく暇をもて余していた時間、
ひたすらゴーストをかわし、ガンを打ち、
素早い動きで金庫を破っていた。


そう、私の名は、小林LUPIN。

 
箱の裏には、5050点から始まり、
6000点台、8000点台と順調に成績を上げている様子が、
下手な字で付けられている。

そして、つひに、ゲーム終了を告げるMAX特典、
9999点をマークした様子の小林LUPIN。
その筆跡には、ある種のむなしさを帯びている。

MAX得点まで至っても、
特に小林LUPINが感動的なフィナーレを迎えた記憶も、
囚われの美女にキスをもらった記憶も、
途方もない黄金をゲットできた記憶も、ない。
 
昔のゲームである。
そんな気の利いた仕掛けはない。
ひたすら点数を地味に積み重ねるのみ。
 
劇画タッチの小林LUPINは、
ルパン三世ほどワンダーでオシャレな怪盗生活ではないのである。
 
  
久しぶりにそんな時代を懐かしく思い出した。
 
そして、アダプタを差込み、(動く!)
数十年ぶりに小林LUPINは復活した。
 
300点ぐらいで、彼は死んだ。
LUPINも年を重ね、衰えたのだ。
       

  
その日の午後、
そんなちょっぴりノスタルジーでおセンチな気分の中で、
私は、きっと、初めて「ワッフル」というものを食べた。
     
箸で食べた。(合ってる?)
皿が渋かった。   
   
        
『LUPIN 黄金強奪作戦』
   
今、それは信頼する古道具屋の友人の手元にある。
そのほうがいいと思って、送り出した。
   
私の後を引き継ぐLUPINが、
モノへの愛情ある人でありますように。
 
  

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